2012/12/30

キッズ・イン・ザ・ダーク来場者の声

「キッズ・イン・ザ・ダーク 〜 冬の陣」の来場者アンケートを抜粋して紹介します。
アンケート用紙に記入していただいた方々、ありがとうございました。
「どのシーンが印象に残りましたか」という質問と、「出演者へのメッセージがあればどうぞ」という項目から。

◎個人的に思い入れの強い「なめとこ山の熊」と「星めぐりの歌」はやはり目頭が熱くなりました。前半部では彼岸をさまようような、あちら側に旅立った人たちの声がきこえてくるような「死」の気配が充満していました。後半部は子供たちが無邪気にスキップするシーンから始まり、色や力強さや笑みが次々に色どられ、ああ人間はなんてたくましいのだと感じました。ラストの「祈り」という詩は素晴らしかった。来年も祈りつづける年にしようと決意しました。年の瀬に「いのちの輝き」をありがとうございました。

◎かぷかぷかぷーってのがみなさんかわいかったです☆ 水中の中の泡のイメージ? よかったです。

◎色々な個性が集まって楽しそうに表現している姿が、みなさんとてもキラキラしていました。新しい世界をみれた気がしまするこれからもがんばって下さい♪

◎「いのり……」よかったです。新しいとびらをまた開けましたね〜。すてきです……。

◎すばらしかったです! 音楽と人の声と表情と体と、ミックスされて、ふしぎな美しい気分になりました。

◎朗読とは楽しいものだというメッセージを受け取りました。音楽が即興というのがとにかくすごいです。類似の公演が多分マネできない理由でもあるのでしょう。小道具(ローソク)使いが見事です。前半と後半の色使いの美など、とても高度な演出を感じます。前衛の言葉がピッタリ。美しかった。次回、独演より、こういう形式のパフォーマンスを楽しみにしています。

◎さそりの所でおだやかな竜巻を感じました。雨ニモ負ケズでミミズが見えました。

◎カプカプ。花が咲きみだれるところ。らりるれろ、ぱぴぷぺぽ。音の持つ力がキレイでした。

◎発声、呼吸力が力強く良かったです。音楽との調和もステキでした。

◎ふにゃっとした声を出された時や、ぐにゃぐにゃ動いた時など、決められていない声や体がとても面白いです。耳にも肌にもここちよく、心がゆるみました。とてもよい時間でした。光を見上げるお顔がすてきでした。

◎一番初めの登場の仕方。最後は、ここちよさが残りました。皆さんのエネルギーがあふれてました。

◎全体的の感想で……紫のケムリが立ち、深い緑の雨がふり、黄色の実がなり、朱がはじけ、群青となり、灰色(グレイ)にとけこんだような……! 以前観た時より観やすかったです。慣れたせいかもしれませんね。

◎宮澤賢治のシーン。緑と黄土色のイメージ。冒頭の菜の花のシーン。みんなの笑顔が良かったです。あるがまま、その時を思ったり感じて表現する。見ている側も子どもに戻れたような気がします。

◎カプカプと言っているシーン、祈り、など。音楽と、出演者の方の表情などで、本当に木の前にいる様な気持ちになりました。

◎今までの朗読とは違っていたので、新鮮でした。みなさんの生き生きとした表情がとても素敵でした。ありがとうございます。

◎かしの木、「人間がたおさない限り……」、ラピュタなイメージ。

◎とてもはくりょくがあって、Vividで、生きている面が流れている感じしました。ピアノもとても良かったです。

◎風の音→色々な表現方法(音の強弱/高低/リズム)でまるで本物の風がふいているのが頭の中でイメージが出きました。物語の中に参加しているように感じました。

◎従来の朗読イメージとは異なり、非常に前衛的で素晴らしかったです。大変興味がわきました。お疲れ様でした! 楽しかったです。

◎アドリブが良かったです(笑)。子どもの動き☆ 面白かったです!

◎あっという間の70分でした。統一したテーマのもと、色々なジャンルの作品が鑑賞でき面白かった。また、一人の作品にしぼってじっくりと聞いてみたいとも感じました。みなさん、これからももっとハジけてください。ありがとうございました。

◎朗読/踊り(歩み)/ピアノの全体のハーモニーがとても良かった。樫の木は人間の又は人生の比喩でしょうか? 切り倒す悪い奴が今でもたくさん居ることには要注意と思った。

◎初めて観たので興味深かったです。中学生の時の文化祭を思い出して、なつかしく温かい気分になりました。

◎最初の「声明」。三次元的に声の中にいるのが気持ち良かった。

◎クラムボンのシーン。かにの子たちが、不思議な世界を楽しんだり、びっくりしたり、演者の方がカニの子たちに見えた。

◎今日は久しぶりに感受性が高まりました。文学は奥深いなぁーっと思いました。今日は楽しい時間をありがとうございました!

◎はじめのシーンから。清少納言はおどろいたでしょうね。あんな風に表現されるとは思ってみませんでした。最後「祈り」。樫の木は倒してはいけませんね。

◎年の終わりにありがとう。仕事で心がささくれていたので良かったです。新しい年もよろしくお願いします。

◎前回も拝見しました。骨。人間の無力さや、せつなさ、おかしさがジンジンと伝わってきた。

◎キーボードの演奏と皆さんの発する高い声等のコントラストが、目を閉じて聞いていると想像力がかき立てられた。応援してます。

◎最初のバラバラだった朗読がいつの間にか集まり、大きなうねりとなったシーン。あと、一生分の「カポカポ」を聴いた気がします(笑)。

◎それぞれの声色の違いや動きの違いなど、楽しめました。みなさん心地いい声してますね。

◎さいしょからよかったです。とてもここちよかった。なんでしょね、全体的に「土」のイメージ。

◎雨ニモ負ケズで皆さんがゴロゴロしているシーン。めっちゃ自由な印象を受けました。不思議な気持ちになりました。ありがとうございました。

◎寝ころがってみんなでくっついてグチャグチャになってるところが印象的でした。「人生の荒波」なイメージ。

◎それぞれが微妙にズレて言葉を発しているところは、かなり統制のとれたポリフォニーとして美しくきこえていてとても良かった。全員が床に倒れており重なりながら「アメニモマケズ」を朗読しているとき、なかなかア然とさせられてしまった。まさかここまで自由なアレンジだらけとは思っていなかった。可能性を感じます。

◎祈りました。みんなつながっていると感じました。声の力で、こんなに果てしない旅に出られるなんて……もう心が一杯です。2013年現代朗読の新たな可能性開拓の年になりそうですね。大きく羽ばたいて下さい。

◎やまなし。泡のぶくぶく! 星めぐりの空。一人で星空を見上げている賢治。楽しかったです。

◎雨ニモ負ケズをみなさんがのたうちまわりつつ読まれていたシーン。意外性がありました。言葉に表れる意志の背景にある思いを感じました。

◎面白かったです! こんごも楽しい作品をつくっていってください!

◎なめとこ山の熊。山と死と命のつながるイメージ。楽しげに演じて(?)いるところがよかった。運動量多いですよね。

◎どれも素敵でしたが、枕草子が私は特に心に残りました。荘厳でもあり、リズミカルでもあり。描かれている風景がみえるようでした。暗い中で子どものように楽しそうな出演者のみなさまそれぞれがすごくすてきでした。お疲れ様でした。見ていても聞いていてもとても面白かった!

◎「春はあけぼの」いいですねー。楽しげにやればやる程良い。元気さが急に小声になる所はグッとくる。もっとささやく様にでも良いかも。どのシーンも楽しそうな程嬉しくなります。

◎いちめんのなのはな。すごく楽しそう。まきこまれる感じ。いろんな表情が見られて面白かったです。動きもスゴイな〜と思いました。

◎「雨ニモ負ケズ」のコンタクトインプロのような動き。全体で1つで、でも部分部分は独自の意思をもって動いていて、アメーバっぽい。出たいぃぃ。

◎「銀河鉄道の夜」赤いさそり。なんでおもしろかったんでしょうね。赤いかたいさそりが伝わってきたのかな。「雨ニモ負ケズ」宮澤賢治の作品の朗読を聴くのが好きです。目をつぶっているとイメージがわきあがってきて……今日のはそれとは全然ちがう体験。イメージ(ことばから伝わる意味)ではなく、音そのもの、音を出しているからだそのものがそこに在るかんじ。「雨ニモ」の体のかさなりは「意味」を広げ、体としてもおもしろかった。初めてですが、声の交響楽。

年末公演「キッズ・イン・ザ・ダーク」が終わった

2012年12月28日と29日の二日間で3回おこなった現代朗読公演「キッズ・イン・ザ・ダーク 〜 冬の陣」が終わった。
スリリングで楽しく、熱い二日間だった。

この公演のためにげろきょゼミ生が15名参加。
今回参加できない者もなんらかの形でサポートに回ってくれて、いわば総力戦。
現代朗読協会という熱い表現者集団のそれぞれのつながりを感じられて、私にとってもとても幸せな時間となった。


28日公演初日は午前10時に羽根木の家に(来れる人は)集合。
折り込みチラシや持っていくものなどの準備をする。
私は演奏機材をレンタカーに積んで、佐藤くんといっしょに先にホールに搬入。
そのあと、いったん羽根木の家にもどり、昼すぎから出演者たちが確認リハーサル。

午後2時半すぎにぞろぞろと歩いて明大前に向かう。
3時にキッド・アイラック・アート・ホール入り。
会場設営。
私は演奏機材のセッティング。
音響ケーブルを一本忘れた、とかあったけれど、これは後発の野々宮に持ってきてもらうことで解決。

順調にすすめ、午後5時すぎから通しリハーサル。
これは照明や音響の確認として重要。
今回照明を担当してもらったホールの早川くんには本当にいろいろとお世話になった。
こちらの指示を待たずとも独自の判断でさまざまに効果的な配慮をしてもらったことには、本当に感謝する。

午後7時半開場、8時開演。
年末の忙しいときにも関わらず、多くの方に来ていただいて感謝。
まずは1回めの公演が無事に終了。
私は早めに家にもどったが、女性陣は終了後、がっつりと食事に行ったらしい。


明けて29日。
出演の男連中が早めに来てマックで朝食、という情報が流れたので、私も早めに明大前に行く。
8時半、合流。
この日の午前中の回はげろきょには珍しく男性が4人出演する。
とかいっているうちに、お姉さまがたも次々と合流してきた。

午前9時、ホール入り。
会場をととのえ、自主的に部分リハーサル。
私は昨日とは違う演奏セッティングを試してみる。
とくに音源を変えてみた。

午前10時開場、10時半開演。
さすがに年末の午前中ということもあって、来客数は少なめだったが、それでも思ったより来ていただいてありがたい。
公演内容はハプニングの連続で、スリリング。

一連の公演の模様はダイジェスト版を近いうちにYouTubeなどで紹介したい。
それと、今回なぜか、来客からのアンケート回収率が異様に高く、しかも熱い思いを語ってくれている内容もいくつかあった。
これも抜粋をブログで紹介する予定。

正午前には2回めが終わり、しばしの昼休憩。
私は近くのサブウェイに行ってホットドッグを買ってきて、ホールで食べながらちょっと一息。


最後の回は午後1時開場、1時半開演。
当日券で来てくれた人が何人かいて、用意していた席は満席になった。
1回め、2回め、3回めと、全部メンバーが違っていたのだが、最後の回もそれぞれが熱く朗読してくれた。
すべての回で終わってからお客さんから暖かい拍手をたくさんいただいたことが心に残った。


個人的な感想としては、現代朗読のスタイルのひとつがこの公演で完成を見たような気がする。
このスタイルをさらにシェイプアップしていくことが、現代朗読のひとつの道筋だろうと思う。
ご来場いただいた多くの方々、出演や手伝いのゼミ生、ホールの早川くん、来れなかったけれど気にかけていただいた方々すべてに、この場を借りて感謝をもうしあげたい。

次回のキッド・アイラック・アート・ホールでのげろきょ公演は4月19日・20日の予定です。
(現代朗読協会主宰・水城ゆう)

2012/08/09

初めての気流舎での朗読会

昨日は下北沢〈気流舎〉での初めての朗読会だった。
ここは有志が共同で運営しているブックカフェで、私も運営には参加していないが微力ながら協力している。
とても小さな店で、10人もはいればいっぱいな感じ。
むりやり詰めれば20人くらいははいれるかも。

午後5時すぎに、トランジション世田谷茶沢会の仲間で、気流舎の共同運営者のひとりでもある浅輪くんが、羽根木の家に寄ってくれる。
今夜は浅輪くんと桃ちゃんが気流舎の店番をやってくれることになっていて、その前に演奏機材の一部を運びに来てくれたのだ。
機材は最小のものだが、それでも私ひとりだとかなり重いので助かる。

私も午後6時、気流舎に向かう。
演奏機材のセッティング。
大きなキーボードはセットできないので、2オクターブしかないmidiコントローラーを持ちこんで、これをMacにつないで鳴らすことにした。
それをテーブルに上にならべる。
音は持参のBOSEのスピーカーで鳴らすのだが、気流舎にはWiFi経由のスピーカーも使えたみたいだった。

桃ちゃんも来て、コーヒーをいただく。
焙煎が深くておいしい。
朗読の野々宮も7時半すぎにはやってきて、照明のセッティングなどをする。

映画製作の高遠さんが来てくれる。
お仲間の方もあとで来てくれた。
ICUの学生さんが来た。
ピリカさんが来てくれた。

ほかにも現代朗読に関心があって、つぎの体験講座に来たいという安部さんという方が来られた。
ほかにも若い人がふたり。
店内はそこそこにぎやかになった。

8時すぎ、スタート。
まずは気流舎にある本を、お客さんが好きなように選び、それを片っ端から読んでいくという、野々宮ならではの即興朗読。
なにしろ初見なので、だれでもできることではない。
私もところどころ音でからむ。
私の作品も読まれた。

9時にいったん休憩をはさんで、後半へ。
まだ本を選んでいないお客さんがいたので、2、3册即興朗読をやってから、最後の宮澤賢治「虔十公園林」の全文朗読へ。
みなさん、しっかりと聴き入ってくれた。

終わってからビールや焼酎を飲みながら、みなさんとお話する。
それぞれの方とつながりを感じ、深めることができた。
気流舎での朗読は、野々宮も私も自分の能力をめいっぱい発揮することができて、充実感のあるものだった。
許されるならまたやってみたい。
(演出・水城ゆう)

2012/08/06

「キッズ・イン・ザ・ダーク」レポート

このほかにも、昨日の公演のことを書いてくれているゼミ生がいる。
たとえば、こちら、菜穂子さんが書いてくれたブログ。

午後1時、開場。
会場のキッド・アイラック・ホールはかなり狭く、予約者は40人で締め切ったのだが、それでも当日予約せずに来てしまう人もいたりして、それは予測できたことだったので、会場内には40席以上を用意した。
これがなかなか大変だった。
席を作るのは簡単だが、パフォーマンススペースを充分に確保するのに苦労した。
朗読とはいえ、げろきょのパフォーマンスはかなり動きまわるので、ある程度のスペースが必要なのだ。

開演時間の1時半には、会場は来客と出演者でぎっしりと密集した状態になっていた。
そんななか、時間どおりに開演。

暗転後、まずは私の音楽演奏からスタート。
完全に真っ暗な中での演奏。
今回、キーボードを2台使用したので、暗転演奏にはちょっとだけ苦労した。

演奏が終わったら、照明がつき、まずはライブワークショップ参加者によるパフォーマンス。
漱石の『草枕』をフリーリレー朗読でバラバラと登場。
あらかじめ会場中央に用意されていた4脚の椅子のまわりに集まって、次の演目に移る。

次は賢治の「なめとこ山の熊」。
これは椅子に立ったり座ったりしながらの、全員での移動朗読。
かなり難しいパフォーマンスだったが、たった6回(実質的には5回)のワークショップを受けただけの参加者が、しっかりと演じてくれた。

椅子取り朗読。
ひとりずつ中央に残されたひとつの椅子に座ってそれぞれの作品を読むのだが、先に椅子に座っている人は、次の人になかなか譲らない。
次の人は力づくで椅子を奪わなければならない。
そのときの力んだ身体から発せられる声の変化や、ふたりのせめぎあいが楽しい。

いったん暗転。
ゼミ生のパフォーマンスが引きつがれて、「山なりのお」というパフォーマンス。
暗闇のなかに響く「おー」という声が、お客さんには怖かったかもしれない。

以後はゼミ生によるパフォーマンス。
まずは「いちめんの菜の花」。
バラバラに始まった朗読が、急速にギュッと収束して、全員がひとかたまりになり、凝固。
そしてほどける。
それを3回繰り返す。

引きつづき、こだま朗読。
ひとりめが発声した詩の一節を、こだまのように次々とまねていく。

つづいて、輪になってぐるぐる回りながら、詩を読む。
音楽もシンクロ。
読む者が行進時の動作も決め、つづく者がそれをまねしていくという形式。
人数分くりかえされるので、さまざまな読みと動作のパターンが現れて楽しい。
もちろん、音楽もバリエーションを楽しんだ。

出演者が入れ替わって、ふたたび「いちめんの菜の花」の朗読。
しかし、パターンが変わっていて、今度は「挨拶朗読」。
ことさら強調した日本人の「過剰な挨拶」を、詩を使っておこなう。
これも楽しかった。

出演者がふたたび交代して、ディレイ朗読。
ひとつの詩を5人で、ディレイのように少しずつずらして読む。
一節ごとに会場を駆け抜ける役割の人もいる。
布を持ってひらひらさせながら、駆け抜けていく。
最後は鳥の羽毛がふわっと舞う。

サーカスのブランコ朗読。
中也の「サーカス」という詩を、空中ブランコをなぞらえた動作の3人と、朗読の2人がコンビネーションで演じる。

猫朗読。
朔太郎の「ねこ」という詩を、読み手がひとり、猫役が3人で演じる。
最後は「おわあ、おわあ」といいながら、ゼミ生が全員中央に出てくる。

猫がいっぱいになってパニックになりそうになったところへ、指揮者猫があらわれて、整理。
指揮にしたがって、「春はあけぼの」という枕草子の冒頭部分を、輪唱朗読。
これはとても音楽的な朗読。

今度はゼミ生のよる『草枕』の朗読。
ひとり、ふたり、三人以上がそれぞれのタイミングで出ていきながら、中央でコンタクトして反応して、次々と読んでいく。
かなり複雑な動きと読みで、これも難しいパフォーマンスだが、ゼミ生たちは楽しみながらマインドフルに演じてくれた。

賢治の「雨にも負けず」の朗読は、関節朗読と読んでいる方法。
身体のあらゆる関節を曲げた状態からスタートして、詩の読み終わりの瞬間にはあらゆる関節を伸ばしきった状態になる、というもの。
最後の「そういうものに私はなりたい」という箇所は、感動的だった。

最後の演目。
私が書いた「祈る人」。
ゼミ生もライブワークショップ参加者も、全員が出演。
自由朗読と読んでいる、全員で読みながらも自由に読んでいいという、げろきょのもっとも特徴的な朗読方法だが、ひとりひとりが個性を発揮しながらも全体でひとつの表現をしているという、とても感動的なパフォーマンスになった。

終わってみると、ろくにリハーサルもできない中、またワークショップ参加者とゼミ生はほとんどが本番当日に初めて顔を合わせたという状況の中、奇跡のような質の高い公演となった。
これは現代朗読のひとつの到達点であり、また通過点でもある。
しかしまちがいなく、これからの方向性を確認できた公演だったと思う。
(演出・水城ゆう)

公演「キッズ・イン・ザ・ダーク」の来場者アンケートより

ご来場いただいた方々が書いてくれたアンケートから、抜粋してお送りします。
「どのシーンが印象的でしたか」という質問でした。

◎「雨ニモ負ケズ」聞くたびに読むたびに静かにドキドキする詩ですが、おおぜいでの朗読は初めて(?)で下。先生の生演奏とのマッチがとってもステキでした!(28歳女性)

◎朗読というより「動き」があったことに驚いた。初めての体験で新鮮でおもしろかった。(47歳)

◎勿論、自身のなじみのある(思い入れのある)詩が印象的ではありましたが、一つは猫。ダダであり、能動的な気(病)の演出が感じられました。全体では言葉一つ一つが編まれ、消され、また重なっていく様が聴いていて心地良さと程良い緊張がございました。動きや声の変化が楽しみです。(23歳男性)

◎全て、コトバと感情の足し算、引き算、かけ算、割算。たくさんの知的刺激をもらいました。ありがとう。(45歳男性)

◎言葉の内容に意味が無く一人一人の感じている感覚が音になっている時、人ごみの雑多な感覚が伝わってきた。不思議な表現でしたが、楽しかったです。(48歳男性)

◎赤ん坊が……子どもが……の朗読。草枕はたまたま昨日、話に出たので、何となく聞き入った。全体的なパフォーマンス、1人1人の表現がステキだった。楽しかった。自分も入りたくなった。表現がやわらかくてよかった。(39歳女性)

◎「赤ん坊が笑う」同じ言葉のくりかえしの中で、1回1回、新しい発見があった。熱い思いが伝わりました!(49歳女性)

◎以前、体験ワークショップに参加して以来、webpageを時々拝見していました。オープニング、暗闇でも音があれば不安にならずに周りの人と高揚やこれから何が始まるんだろうか? といった気持ちを共有できるのだと新鮮に思いました。客席と触れるような近さであんなに堂々と思いきったパフォーマンスを行なえる皆さんが、本当にすばらしいと思いました。腹の底から元気がわきました。(27歳女性)

◎意味をとるんじゃなくて、声のかさなりを楽しんだ。遠ぼえのシーンが一番良かった。声が上にのぼっていくイメージを感じた。(30歳女性)

◎菜の花で会話をしているみたいで面白かったです。いろんな会話が聞こえてきそうでした。楽しかったです。(14歳女性)

◎初めて現代朗読のliveを拝見致しました。何かわからないけれど込み上げる物がありました。hotでした。暑い中の練習にも負けない強さ、生きる力を感じました。(50代女性)

◎「猫」朗読+動きという、何しろ初めて見ましたので、感想? がすこし時間がたたないと出ません。(80歳女性)

◎赤ん坊が笑う……のところからぐるぐる円になっていったところが印象的でした。見ていて楽しかったです。ほんとに皆さんそれぞれ個性があって、声、体のうごきもいろいろで、おもしろいなむと思いました。

◎風を感じました。ちょっとせつなくなりました。なんでだろーね??(41歳女性)

◎いちめんの菜の花(大人数での)。黄色の菜の花ではなく、ポリゴンの様なモノクロの菜の花からパステル色の様ないろんな菜の花へと変化する様なイメージが伝わってきました。以前一度見せて頂いたのですが、より洗練されていて、別の次元へと昇ったかの様な印象を受けました。これからも是非続けてください。(26歳男性)

◎最初の暗やみが恐かった。でも朗読の世界観をとても自由に表現されていて、ショウゲキ的でした。朗読って色々な表現の仕方があって素晴らしかったです。みなさんそれぞれ個性的で面白かったです。(40歳女性)

ご自分のブログで丁寧な感想を書いてくださった方もおられます。
「水のきらめき」

2012/07/16

げろきょ徳島ツアーレポート(2日め)

2012年7月16日。海の日。
徳島の朝が明けた。
昨夜は体調を回復すべく、早めに休んだおかげで、喉も体調もほぼ完調。
ただし、夜中に何度か足がつった。
昨日のワークショップではりきりすぎて、ずっと立ったまま熱弁をふるったせいだろう。
ま、それはいい。

昨日もそうだったが、今日もすばらしく晴れた。
非科学的ないいかたではあるが、私は晴れ男である。
まあ、偶然にも行動パターンがそのようなことに重なったというだけのことなんだろうけれど、重要なイベントではほとんどが晴れて、雨に降られて困ったというのは数えるほどしかない。
まあ、数えるほどはあるのだが。

ともあれ、今日は晴れた。
早起きしたので、ホテルを出て、ブラっと散歩してみた。
きゃたおかさんも早起きの人で、ツイートを見たらすでに散歩に出て、かなり遠出をしているようだ。
私は駅前あたりの近場を少し散歩してみた。
だいたい、街の雰囲気はつかめたが、休日の早朝ということもあって、街はほとんど活動していない。

7時すぎにホテルにもどり、荷物をまとめてから、食堂でコーヒーとサラダ。
朝食付きのプランだったが、朝からうどん屋に連れていってくれるというたるとさんの言葉があったので、セーブしておく。

約束の8時ぴったりに、たるとさんとご主人が車で迎えに来てくれた。
さっそく乗りこんで、出発。
めざすは朝うどんの地、隣県のうどん県、讃岐香川県。
すばらしい景色を堪能しながら海岸線を通って、香川県にはいる。
引田という地区にある、名前のない海辺のうどん屋へ。

ここは昨日ほどではないというものの、景色がいいから来た、とのこと。
いやいや、しかし、ここのうどんもなかなか。
たしかに昨日のうどんとはやや趣向が違うものの、私が食べたざるうどんは腰があり、かけうどんはいい意味で柔らかい感じ。
朝っぱらからふた玉と天ぷら3種をあっという間に平らげてしまった。
毎日でもいけるぞ、こんなの。

食後は目の前にひろがるビーチに出て、ひさしぶりに海辺を堪能する。
女性陣は靴と靴下を脱いで波打ち際に足をひたし、気持ちよさそう。
海から吹く風がこの上なく気持ちいい。
水面近くをツバメが飛んでいたり、カモメが飛んでいたり、はるかかなたにはミサゴらしき鳥影がホバリングしていたり、そして東京から来た我々を歓待してくれたのでもないだろうが、すぐ近くの水面を種類のわからないそこそこ大きな魚が何度もジャンプして姿を見せてくれたりと、楽しいのなんのって。

うどんで満腹したあとは、鳴門方面に向かう。
途中、たるとさんのご主人が一番気にいっているという、堀越海峡にかかる橋の上から潮の流れをながめる。
高所恐怖症の人は肝を冷やす景色だろうが、これが絶景。
有名な鳴門の渦潮を見た気になってしまう。

しかし、やはり本物の鳴門の渦潮に連れていってもらった。
鳴門大橋をバックに記念撮影。
観光客がぞろぞろいて、先ほどの堀越海峡よりはよほど俗っぽい。
が、それなりに明媚な風光ではある。

鳴門から徳島市内にもどり、今度は阿波人形浄瑠璃で有名な十郎兵衛屋敷に行く。
なんだかたるとさん夫妻には、我々の観光案内係をやってもらっているような気がして、申し訳ない。
しかし、せっかくなので、徳島をせいいっぱい堪能させていただく。
そしてげろきょ陣はそのことに遠慮なく、マインドフルに子どものように楽しんでいるのだった。

阿波浄瑠璃は伝統があり、大阪の文楽は多少違った発展をしたようだ。
私は大変興味深く見せてもらった。
そして、義太夫というか、浄瑠璃語りの手法をつぶさに見て、語り、朗読、謡い、音楽の関係についてさまざまに考えをめぐらせた。
とても収穫が大きかった。
今日のこの体験は、いずれどこかで現代朗読に生かせるときが来るだろうと思う。

飛行機の時間も迫り、徳島空港に向かう。
徳島は滞在24時間とちょっとだったが、本当に楽しい時間だった。
あっという間、ではなく、充実していたのでまるで何日にも感じられた。
そして、徳島空港では、最後に、徳島ラーメンをいただこうということになった。
徳島ラーメンの特徴は、とんこつスープの醤油味に、チャーシューや、味付けした豚バラ肉がトッピングされていることだ。
そして味が濃いので、ご飯をそえてそのおかずみたいにいただく。
空港の食堂なので、たぶん最大公約数的なそこそこの味だと思うが、私はおいしくいただいた。
次の機会があれば、本格的にこてこてな徳島ラーメンを体験してみたいと思う。

というようなわけで、徳島は朗読というより、食事と観光がかなりのウェイトを占めたツアーだったが、それもこれもたるとさん夫妻の心をくだいた歓待によるものだ。
あらためて感謝したい。
私にできるお返しは、徳島に自由で楽しい朗読の芽が育ち、その輪が広がっていくことを今後もお手伝いすることだ。
たるとさん、げろきょの徳島支部長として、ぜひとも今後ともよろしくお願いしますよ。
そしてまたげろきょメンバーが遊びに行き、徳島メンバーと盛大に朗読パーティーを開けるときが来ることを、楽しみにしてます。
(演出・水城ゆう)

げろきょ徳島ツアーレポート(初日)


2012年7月15日。
現代朗読協会は徳島市での特別ワークショップをおこなうべく、東京から徳島に向かった。

午前8時すぎ、羽田空港集合。
メンバーは野々宮卯妙、なお、そしてきゃたおかだが、きゃたおかさんは一便先に徳島入りしている。

いざ3人でANA便に乗りこみ、徳島に向かうも、旅情もなにもなく、ひと眠りどころかサービスされた飲み物をあわただしく飲んだらもう徳島空港に向けて降下を始めていた。
近い、近すぎる。

空港ではロビーに先着していたきゃたおかさんと、徳島のげろきょメンバーのたるとさんが出迎えてくれた。
たるとさんとはもう3、4年くらいの付き合いになるのだが、ネット経由ではなく実際に生身で会うのはなんとこれが初めて。
もちろん、初めて会った気はしないのだが。

たるとさんのご主人が車を出してくれていて、ご主人の運転で徳島市内へと向かう。
広々とした海の風景、川、なだらかな山と緑、そして芋畑、蓮畑、梨園などの風景がとても気持ちいい。
住宅も密集していなくて、落ち着いた雰囲気だ。
いっそここに住みたい、と思えるほど、私の肌に合う感じを受けた。

私もなおさんもきゃたおかさんも、初徳島だ。
たるとさんが気をきかせて、観光地へと案内してくれた。
四国お遍路の一番札所のお寺だ。
立派なお寺で、お遍路さんや観光客がたくさんいた。
境内をめぐり、お土産物屋などをのぞく。
なにもかも初めて見るものばかりで、おもしろかった。

ちょうど昼の時間が近づいてきたので、うどんを食べに行くことになった。
うどんで有名な讃岐は阿波の隣なので、阿波にもおいしいうどん屋があるそうだ。
しかし、地元の人でなければなかなかなそういう情報は得にくい。
案内してもらったのは〈丸池製麺〉という、地元の人が来る、ちょっとディープな感じのうどん屋だった。

讃岐うどんは最近、東京でもいろいろ食べさせるところができていて、私もいくらか食べている。
しかし、本場で食べるうどんには驚いた。
東京のうどん屋には、
「ここがあればもう讃岐まで行かなくていい」
みたいなことをうたっている本格讃岐うどんと称する店が多いが、残念ながらそんなことはない。
やはり讃岐や阿波まで来なければ、この味はない。

うどんは基本的に柔らかい。
柔らかいうどんを敬遠する自称「通」がいるが、そういう人はおいしいやわらかうどんを食べたことがないのだろう。
実際に食べてみると、やたら珍重される「コシがある」という形容ではなく、あえていえば「もちもちしている」という形容があてはまる。
とにかくうまい。
食感も味も香りも絶品だ。
釜揚げしたものをすだちと醤油だけでいただくのがもっともよい。
次に、玉子と醤油をかき混ぜていただくのもよい。
とにかくあっという間にふた玉、いただきました。
ごちそうさま!


徳島市内は川が多い。
橋がたくさんかかっていて、その風景も気持ちいい。
海べりまでわざわざ遠回りしてあたらしい大きな橋を渡ってくれたり、眉山をぐるりと回ってながめたりしながら、市街地へ。

ワークショップ会場の〈仏壇のもり〉に到着。
大きな仏壇屋で、フロアの上階を文化的な行事のために無料で開放している、非常に太っ腹な店だ。
こういういわば「旦那衆」が地方文化を支えているのだが、このような伝統は日本のあちこちからなくなりつつある。

会場は会議などにも使える広いフロアで、椅子を楕円形に配置してもらって準備。
たるとさんと組んで朗読と音楽のコラボをおこなっているギターの福井さんが、音響装置の準備をしてくれていた。
私はこの日、夏風邪で喉をやられて朝から声が出なかったのだ。
朝、起きて、どうしようかと思ったのだが、なおさんが持ってきてくれた「特効薬」の発酵飲料がとても効いたのと、うどんで元気になって、会場に着くころにはだいぶ回復していた。
それでも大きな声で話しつづけるのはつらく、福井さんがマイクを用意してくれて大変助かった。


午後1時から現代朗読特別ワークショップ徳島編がスタート。
参加者は20名くらい。
まったく朗読の経験がない人もいれば、長く朗読をやっていた人もいるし、芝居や音楽をやっている人もいる。
経験度はまちまちだ。
しかしいずれにしても、現代朗読という考えに触れるのはどの人も初めてのようで、ワークが進めにつれ新鮮な反応が返ってきて、私も大変やりがいがあった。

途中の休憩では、参加者の方がわざわざ作ってきてくれた「そば米汁」という徳島の家庭料理をみんなでいただく。
初めていただくものだったが、大変おいしうございました。

現代朗読についての講義、そしてエチュード、呼吸法や発声、そして最後は4つのグループに分かれてもらって実際に群読作品を自分たちで工夫して作ってもらい、発表してもらった。
全グループがおなじ作品「羅生門」の冒頭を使ったのだが、それぞれまったく違う表現にしあがっていて楽しかった。
そして参加者の皆さんもそれぞれ楽しんでくれたようだった。
最後にひとりひとりのお声を聴かせていただいて、私はこの上ない幸せな気分を味わっていた。

徳島の人たちはオープンで、ものおじせず、反応もよく、自由な表現を楽しむ柔軟なマインドを持っておられるようだった。
これを機に、現代朗読の自由で柔軟な活動が始まってくれると、私としては最高のよろこびだ。

午後4時半くらいに修了。
後片付けをしてから、夕食に連れていってもらった店ではおいしいお刺身をいただく。
とくにハモと、ヨコと呼ばれるマグロの小ぶりのやつの刺身が、徳島ではおすすめだった。

夜は、ワークショップにもマスターとママと息子さんの3人が参加してくれた〈豆の木〉というカフェに行き、朗読ライブを楽しむ。
ここではたるとさんが月に1回くらい、朗読と音楽のライブをやっていて、少しずつ自由で気楽な朗読の輪が広がりつつあるとのこと。
この場を中心に現代朗読の輪も広がっていってくれるとうれしいな。

京都や赤穂(以前東京の講座にも参加してくれたさくらさん)から来られた方も地元の人たちに加わって、自由な朗読ライブパーティーとなる。
私はキーボードを弾かせてもらった。
いろいろな朗読が飛びだし、楽しかった。
そして念願の、たるとさんを交えたげろきょメンバーとの朗読パフォーマンス。
これをやるために私はここに来たといってもいいほどだ。
本当に実現できてうれしかった。

午後9時半くらいに解散。
またたるとさん夫妻に車でホテルまで送ってもらって、徳島の初日は終わったのだった。
(2日めにつづく/演出・水城ゆう)

2012/04/21

深川そら庵での「TaikanWorks+現代朗読協会 共同ワークショップ」


2チームに分かれて作戦会議

まずはAチームのお披露目。完全フリーロードク。

 次のBチームはアルゴリズムロードクに挑戦。


水城さんも一緒に演奏したい!というのでさっそく再演。
Aチーム、ラストはこんな感じ。朗読をしていたとは思えない光景。

Bチームはアルゴリズムだけに即興での音楽との兼ね合いは難しそう。

打ち上げ中、足もみされながらiPhoneで芥川龍之介「羅生門」をロードク。
しまいにはあられもない姿になりました……


---------------当ワークショップ&ライブのご案内は以下でした---------------

現代朗読協会、ついに深川進出!

TaikanWorks+現代朗読協会 共同ワークショップ


「体の掃除→楽な呼吸と発声→現代朗読」

2012年4月21日(土)

1部:taikanworksWS 13:00~15:00
2部:現代朗読WS 15:30~17:30
懇親会:18:00~20:00(現代朗読ライブパフォーマンスあり)

★お申し込みはここをクリック★ 

場所
東京都江東区常盤1-1-1
TEL: 050-3414-7591
syunsyun.BMP
料金
1部 「TaikanworksWS」2000円
2部    「現代朗読WS」2000円
1,2部通し券 3500円
※全て1ドリンク付き
※懇親会参加のみの方は要1オーダー

定員
各20名

■概要■ 
「セルフ足もみ」で体の張り・固さを取り除いて楽な呼吸が出来る体を作り
「呼吸・発声法」で呼吸を深くし、楽に声を出せるようにして、
「現代朗読」で型にとらわれない自由な朗読表現を楽しむ、特別企画

■TaikanworksWS■ 
「深い呼吸と、楽な発声のための、セルフ足もみ&呼吸・発声ワークショップ」

■現代朗読WS■ 
参加者に朗読台本をお渡しし、げろきょゼミ生といっしょに朗読パフォーマンスを作り上げ、最後にライブ発表するというもの。これには徳久ウイリアムも加わり、スリリングなものになるでしょう。冒頭にミニライブも予定しています。

ウイリアム&珠央ペアと、げろきょゼミ生。魅力的な面々があなたをお迎えし、ライブに巻きこみます。
◆◇◆ ◇◆◇ ◆◇◆