2013/07/28

キッズ4「夏と私」終了

2013年7月27日、明大前〈キッド・アイラック・アート・ホール〉にて現代朗読公演「キッズ・イン・ザ・ダーク 〜 夏と私」2公演を開催し、無事に終了した。

午前9時半、羽根木の家に機材運搬組のかっしー、平田くん、菜穂子さんが来てくれる。
「全国タクシー」というアプリを使ってタクシーを呼び(便利だ)、楽器や撮影機材を平田くん、かっしーといっしょに明大前まで運ぶ。

キッド・アイラック・アート・ホールの前には出演者やお手伝いのげろきょの面々がすでに集合していたので、搬入はあっという間に終わる。
会場準備。
といっても、演劇のように装置や大道具はないので、客席を作ったり、楽器や記録用の撮影機材をセッティングするだけ。
ホールにはピアノがないので、私の演奏機材のセッティングが一番手間がかかる仕事だが、これはいつものことだ。

予定どおり、11時から場当たりをかねたリハーサル。
これも順調に進み、12時半には終わってしまう。
その間、ホールの早川くんが照明や音響の調整をひとりで黙々とやってくれていた。
キッド・アイラック・アート・ホールはちょっと小さくて、現代朗読としてはもうすこし広いスペースでやりたいと思うことがあるのだが、早川くんに対する信頼感が大きいためにこのホールを使う安心がある。
なにもいわず黙々とサポートしてくれるが、ほんとうにありがたい。

昼食を近くの〈なか卯〉で。
もどってきて、13時半、開場。
むし暑いなか、お客さんが来てくれる。
今回も例によって集客には苦労したけれど、出演者の知り合いやいつも来てくれる顔なじみの方たちに来てもらえた。
げろきょの知名度がもう少しあれば楽なのかもしれないと思うけれど、我々がやっていることの意味を知ってもらうのは簡単なことではないのかもしれない。
とにかく情報発信しつづけるしかない。

14時、定刻に開演。
演目は中原中也の「夏と私」という短い詩と、私の同名の「夏と私」という音韻を中也の詩にぴったり合わせた詩の2編のみ。
これを手を変え品を変え、繰り返し朗読していく。
それぞれの「ギグ」といっているがひと区切りごとにタイトルがついていて、それをみぞれちゃんがコールして進んでいく方式。

オープニング・ギグにはタイトルはついていないが、「無声音詰め寄り朗読」と呼んでいるもの。
その後「夏と私と中也と水城」「ワルツとチャチャチャ」「水平線と入道雲」「コーチ、水飲んでいいですか?」「オクトパス」「蛍狩り」「椅子取り合戦夏の陣」「夏の夕べのカエルたち」「ナイアガラ」「さざ波」「洞くつ探検」「線香花火」、そしてエンディングという順番でギグが進んでいった。
最後は朗読というより音楽や踊りに近い大盛り上がりで、全員汗だくになって終了。
いつものことだが、初めて見る現代朗読にとまどう人もいるし、またおもしろがってくれる人もいて、いろいろな反応だ。

15時すぎ、1回めが終了。
中休み。
16時半、2回めの開場。
17時、定刻に2回め、開演。
18時すぎ、2回め、終了。
19時には撤収がほぼ終わった。
大変スムーズに進行して助かった。

ふたたびタクシーをアプリで呼んで、機材を羽根木の家に運ぶ。
ほかのみんなは歩いたり、電車の乗ったりして、羽根木の家に移動。
何人かは所要で帰ったが、出演者・スタッフほか20人近くが羽根木の家に来て、打ち上げ。
みんなお腹がすいていたらしく、野々宮が用意していたおかずの皿はすごい勢いで空になっていった。
そしてここでも大盛り上がり。
じつに楽しい、しかもマインドフルな一日で、ずっと幸せを感じていた。

この公演の模様は、近日中に抜粋映像でお送りする予定。
参加できなかった方もお楽しみに。
(主宰・水城ゆう)


最後に、来場いただいた方の感想を、アンケート回答から抜粋して紹介します。


◎最初はビックリしたが、一緒に足をふみたくなった。

◎普通の朗読会と思ったら大間違い。見ていて、聴いていて熱くなる。いつの間にか自分も参加しているような会でした。

◎ステージを見るのは初めてだったのですが、とてもスリリングでエキサイティングな時間を過ごすことができました。最初の少し(正直なところ)混乱しましたが、そのからまった糸がだんだんほぐれたり、からまったり、流れが速まったり、遅くなったり、リズムにどんどんひきこまれました。最後に私の心の中に残ったのは「Destiny」でした。人生って最後どうなるかはわからない。「絶頂で終わる」って運命みたいで、「美」を感じました。

◎同じ詩が表現方法によって様々にきこえ、おもしろかったです。「さざなみ」が印象的でした。母の楽しそうな姿が見れて、充実感が伝わってきました。

◎客席ではなく、舞台の床の上に座って、出演者にまみれながらきいてみたくなりました。声に酔う、椅子取りゲームに巻き込まれて怪我を負う、などただではすまなそうですが。声でまだまだ遊べそうな予感がしますね。アイデア出し楽しそうですね。

◎私たちは関西から転居したばかりです。朗読に小さい時から興味があった孫が、最近、このサークルに入れて頂き、初めて見せて頂きました。私共も朗読が好きで、ラジオ等でよく聞いております。本日の公演が非常に新しい試みでびっくり、興味を持ちました。出演者の躍動感を感じました。今後の発展を祈っております。

◎出演している方が、やっていて楽しそうに見えました。

◎皆さんイキイキされていて、ほんと楽しそうでしたね。仲間に入りたい(笑)。言葉というものがモノを伝える手段を超えて、自分のエネルギーを確かめるひとつのリトマス試験紙になっている。なかなかいいパフォーマンスを見せていただきました。

◎何より出演者(朗読されている)の皆さんが、楽しく充実している様子が伝わってきた事が良かったです。

◎ひとつのテキストがかくも各イメージを持って楽しめるものにもなることを知りました。

◎ひとつの詩からいろいろな可能性が引き出され、とても興味深かったです。

◎とても現代風にアレンジされている朗読だったので、とても新鮮さを感じました。みなさんとても生き生きと表現されていて、楽しそうで、こちらも思わず笑顔になりました。今後もご活躍をお祈りしています。

◎とても楽しく参加させていただきました。2篇の詩が、このように、色々な表情をもって表現される事、又、群読・輪読、の色々なバリエーション。ナイアガラ、さざ波……。そのうち水琴窟のような余韻を楽しむようなものもお願いします。

◎ようやく公演を見ることができてよかったです。ワークショップでやったことを本当にそのままやっているんだ、と改めて感銘を受けました。音というか文字が宙に浮いて迫って来る幹事がしました。また見たいです。

◎初めて見る形の朗読で、皆さんがとても生き生きと楽しそうにやってるので、こちらまで楽しかったです。

◎個性的な一人一人が楽しそうに力強く動いているのを観て、私もたくさんエネルザーをもらいました。どうもありがとうございました。

◎素晴らしかったです。人の声がこんなにも人の心に訴えるものがあるとい事、感じました。どれも皆おもしろく楽しかったです。一番好きだったのは「ワルツとチャチャチャ」です。迫力がありました。心を動かされるものがありました。

2013/07/09

キッズ4公演の稽古がはじまった

昨年8月に初回公演がおこなわれ、その後12月、今年の4月と、4か月おきに開催されてきた「キッズ・イン・ザ・ダーク」。
その4回めとなる「夏の陣」が今月27日に開催される。
場所はこれまでとおなじ明大前の〈キッド・アイラック・アート・ホール〉。
その稽古がはじまっている。

この「キッズ・イン・ザ・ダーク(略してキッズ公演)」は、ライブワークショップの最終発表ライブにゼミ生たちも参加してふくらませた公演として、最初はスタートした。
そのスタイルがなかなかおもしろかったのと、現代朗読というスタイルを表現するのにとてもいい形式だったので、以後これを踏襲することになった。
4回めの今回も、ライブワークショップの最終ライブをふくむ、ゼミ生も参加しての現代朗読公演となる。

今回の特徴としては、すべてのギグ(Gig/各パート)が群読で構成されるということだ。
群読といっても朗読劇とかドラマリーディングとはちがう。
これはもう「現代朗読」としかいいようのないもので、げろきょ以外のどの劇団や朗読集団でもやっていないオリジナルな方法だ。
とくに朗読者の身体性を重要視している。
朗読はことばの表現であると同時に、音声表現でもある。
そして音声は身体から発せられる。
身体の状態がどのようなのか、またどのような身体操作をしているかによって、音声のクオリティもまったく変わってくるのだ。
現代朗読ではそこのところを重要視している。

今回の公演でも、朗読者たちの群読による身体運動と音声表現がメインテーマだ。
そしてもうひとつの特徴として、使うテキストはたった2種類(見ようによっては1種類ともいえる)。
A4サイズの紙一枚に収まる短いテキストが公演のためのシナリオだ。
朗読者たちはその紙一枚だけで80分前後の公演を読みきる。
もちろんいろいろな読み方をするのだ。
みなさんが聴いたこともないように、見たこともないような朗読パフォーマンスが次から次へと繰り出されてくることだろう。

コンテンポラリーな表現としてまちがいなく、いまもっとも先端的なことをやっているという自負がある。
しかもそれは小難しいコンテンポラリーではなく、おもしろく楽しい刺激的なものだ。
ぜひおいでいただいて、実際に目撃してもらいたいものだ。
(主宰・演出 水城ゆう)

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