2010/03/09

上祖師谷中学校朗読プログラム「ホームズ」レポート

 2010年3月9日、火曜日。曇のち雨一時みぞれまじりの雪。当然、寒い。
 午前9時45分に京王線の仙川駅で出演者たちと待ち合わせ。野々宮、唐、菊地、玻瑠。槐は直接学校で合流。
 寒いなか、震えながら、世田谷区立上祖師谷中学校まで15分くらいかかっててくてく歩いていく。マイクスタンドが足りないというので、自前で2本持ってきたのだが、それをぶらさげていく。
 学校に着くとすでに槐さんは到着していた。世田谷文学館の根岸さんが玄関まで出迎えてくれる。控え室の音楽室にはいる。暖かい。担当の早川先生と久しぶりのご挨拶。
 すぐに会場の体育館に行き、マイクやらピアノ位置、記録用ビデオカメラのセッティング。音テストをかねて、かいつまんでリハーサルをやる。初めての演目なので、位置感覚がけっこう難しい。そして私はひとり、ステージ上にあるピアノを弾くのだが、ステージの上からはフロアのみんなの声がほとんど聞こえない。マイクを通した声もくぐもってはっきりとしない。ほとんど勘でやるしかない。これは、前回の小学校「Kenji」公演でも経験していたことであるが。

 いったん音楽室にもどり、文学館が用意してくれたホッカイロを背中に張ったりする。体育館は非常に寒い。根岸さんがピアノのまわりにヒーターを二台用意してくれたが、手が冷たくなると演奏に差し支えるのが困る。
 我々の前に生徒たちの朗読発表があり、それを見る。スライドを使った「はだしのゲン」の発表。非常に重くて悲惨な内容で、このあとに「ホームズ」をやるのかと思うと、ちょっとためらわれる。が、休憩時間が少しあったりしたので、気を取り直して「ホームズ」の上演時間を迎えた。

 今回の「ホームズ」というプログラムは、シナリオ作成に非常に苦労した。文章が翻訳だし、コナン・ドイル特有の説明臭い内容である。また、ストーリーと会話がメインの娯楽小説でもある。それを朗読劇としてやるとき、どうすればいいのか。とにかくストーリーに添ったストーリー朗読劇にはしたくなかった。
 時間軸と登場人物をばらして、一見目の前で展開しているやりとりとかギャグは非常にコミカルでわかりやすいのだが、全部終わってみるといま見た一連のものがなんだったのかわからなくなってしまう、という構造を作りあげた。見終わった瞬間、見た人はもう一度内容を振り返って反芻してみたくなる、がやはりそこで「わかる」ものはなにひとつない、というものを作ってみた。もちろん、ストーリーも完結していなければ、事件も解決していない。事件の結末を知りたければ、生徒たちは本を読むしかない。
 生徒たちの反応は、最初はぽかんとしたもので、若干引きぎみでもあったが、後半はうまく巻きこめたようだった。
 が、私たちの側にもいくつかの課題は残った。それは過去を振り返っての「反省」などというものではなく、未来を見据えての「課題」として取りくんでいくことであり、そのための貴重な機会を今日は得たのだ。やってみなければわからないことがたくさんある。

 終わってから生徒たちと少し話をし、音楽室に戻る。
 世田谷区の広報の方が来られていて、取材を受ける。
 そのあと、また寒いなか、今度はみぞれが降りはじめたなか、仙川駅まで歩いてもどって、ロイヤルホストで昼食。
 寒かったけれど、楽しくもあり、得ることも多かった「ホームズ」初演の日であった。文学館の皆さん、上祖師谷中学校の生徒さん、先生がた、お世話になりました。またお会いしましょう。

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